問題管理とは

インシデントとは、ITシステムの運用管理において、ユーザーがシステムを正常に使用することを妨げるような事象を指し、ITIL 4 において、「問題」は「1つ以上のインシデントの原因となるもの」と定義されています。例を挙げると、「Wi-Fiが繋がらない」事態はインシデントであり、「ルーターの故障」が問題と言えます。

問題管理とは、ITサービスにおけるインシデントの根本的な原因である「問題」を特定し、再発防止することを目的とする管理プラクティスです。

同じくITIL のプラクティスであるインシデント管理 は、事業への影響を最小化しつつ、インシデントを迅速に解決することを目的としています。そのため根本的な問題の解決を目指すものではありません。

インシデントが発生するたびに根本的な原因の解決を目指していては、インシデントの解決までに時間がかかってしまいます。

そのため、インシデント管理とインシデントの原因特定・再発防止を担う問題管理は、区別して行われます。

ITILにおける問題管理

ITIL 4には全部で34個のプラクティスがあり、「一般管理プラクティス」「サービス管理プラクティス」「技術管理プラクティス」の3種類に分類されています。

「問題管理」は「サービス管理プラクティス」に分類されており、「インシデント管理」や「変更管理」との関わりが強いITSMにおいて重要な役割を担うプラクティスです。

問題管理の業務

問題管理の業務は以下の4つに分類されます

① 問題の識別と記録

まずは、組織が抱える「問題」を洗い出し、記録・管理します。

ヘルプデスクに寄せられるサービス要求やインシデントのなかには、頻発しているインシデントや業務に重要な影響を与える可能性のあるインシデントもあります。

再発を防ぐために、これらを解決すべき「問題」として扱い、順次対処するために記録していく業務です。

② 問題の分類と優先度付け

全ての問題を一度に解決することは困難なため、内容をもとに問題を分類し、業務に与える影響や緊急度を考慮して優先度を決定します。

③ 問題の調査と解決

優先度の高い問題から調査を開始し、根本原因を特定後、問題解決のための適切な対応を決定します。

問題解決のプロセスには、コストや解決までの時間を考慮して、一時的な回避策をとる場合と、恒久的な解決策をとる場合があります。

④ 既知のエラーに関する記録の作成

ITILにおいて「既知のエラー」とは、「根本原因と回避策・解決策が文書化された問題」を指します。

解決された問題の根本原因と回避策・解決策を、既知のエラーとして記録しておくことで、問題が再発して再度インシデントを引き起こした場合でも、対応までの時間を大幅に削減できます。

インシデント管理・変更管理との連携が不可欠

問題管理とサービス要求管理、インシデント管理プロセスには深いつながりがあります。

問題管理システムは、ヘルプデスクに寄せられるサービス要求やインシデントの傾向を分析することで問題を発見します。

そのためには、サービス要求・インシデントそれぞれの問い合わせデータを蓄積し、問題管理担当者とスムーズに情報共有する必要があります。

また、問題の解決策は、ITサービスへの影響やリスクを最低限に抑えつつ、品質も保てるものでなければなりません。

構成管理・変更管理・リリース管理と連携して、解決策を実施した場合のITサービスへの影響を推定する必要があります。

全てのデータを素早く共有し、それぞれの連携がとりやすいように、問題管理と同時にサービス要求管理・インシデント管理・構成管理・変更管理・リリース管理を行えるサービスデスクの問題管理ツールが必要になります。

サービスデスクに必要なあらゆる要素を備えたITIL準拠のITSMS、Freshservice

Freshservice は、問題管理をはじめサービス要求管理・インシデント管理・構成管理・変更管理・リリース管理・IT資産管理など、サービスデスクに必要なあらゆる要素を備えたITIL準拠のITSMSです。

チケットシステムでサービス要求・インシデントを管理

Freshserviceでは、サービスデスクに寄せられるあらゆる問い合わせをチケットとして一元管理します。

登録した問い合わせはインシデント、サービス要求、リリース申請、変更申請などに自動で分類されます。

さらに問い合わせの内容に合わせて細かくタグやカテゴリを設定し、問い合わせを行った部署や社員、関連するIT資産も合わせて記録できるため、問題の発見に必要な問い合わせの傾向分析などの管理プロセスにも役立ちます。

チケットシステムでサービス要求・インシデントを管理 チケットシステムでサービス要求・インシデントを管理

アナリティクス機能で問題の発見・原因の究明を支援

Freshserviceは、過去の応対履歴を確認できるアナリティクス機能を搭載し、過去の問い合わせをグラフィカルに可視化し、問題の発見・原因究明をサポートします。

期間別やグループ別に絞り込みを行えるほか、カテゴリやタグを使い、特定のサービスや製品に関する問い合わせデータのみに絞り込んで表示することも可能です。

アナリティクス機能で問題の発見・原因の究明を支援 アナリティクス機能で問題の発見・原因の究明を支援

CMDBで変更管理と連携

Freshserviceは、資産を自動検出しCI情報やCI間の関係を自動的に検知するCMDBを備えています。

CMDBを問題管理や変更管理と紐づけることで、ITサービスのリリース・変更時の事業への影響範囲を可視化することができます。

これにより、問題解決のプロセスにおいてITサービスをリリース・変更する際のリスクを最小限に抑える事が可能です。

CMDBで変更管理と連携 CMDBで変更管理と連携

ナレッジとして対応履歴の記録

Freshserviceでは、ユーザー・担当者の双方が参照できる包括的なナレッジベースが構築可能です。誰でも簡単に、画像や動画を利用した充実したナレッジベースを構築できます。

問題管理で決定した既知のエラーに対する回避策・解決策を、問題の根本原因と合わせて登録できます。

充実したナレッジベースによって、問題が再度インシデントを引き起こした場合でも、対応までの時間を大幅に削減できます。

ナレッジとして対応履歴の記録 ナレッジとして対応履歴の記録