ITILの歴史
ITIL v1
ITILは1989年、イギリス政府の中央コンピュータ電気通信局から出版されました。
英国政府は、運用効率化が進まず、膨大なIT投資に比べ得られる効果が小さかったため、運用のガイドラインを策定し、企業に対しガイドラインに沿ったITサービスの提供を求めました。
この際、ITを有効活用している先進企業を調査し、40冊を超える書籍群としてまとめられたガイドラインがITIL v1でした。
ITIL v1では、ヘルプデスク管理、変更管理、ソフトウェアの配布と制御など、主にITサービスのサポートに関連するプロセスについて説明されていました。
また、容量管理、緊急時対応計画、可用性管理、コスト管理などについても言及されており、これらは最新バージョンであるITIL 4(2019年に公開)まで受け継がれています。
ITIL v2
1999年~2004年にかけてリリースされたITIL v2は、ITILが世界的に認知されるきっかけとなりました。
40冊を超えたITIL v1をベースに、重複の排除、整合性の取れない部分の整理、新IT概念の組み込みを行い、「サービスサポート」「サービスデリバリ」「サービスマネジメント導入計画立案」「ビジネスの観点」「アプリケーション管理」「ICTインフラストラクチャ管理」「セキュリティ管理」の7冊の書籍にまとめたものがITIL v2です。
なかでも「サービスサポート」「サービスデリバリ」の2冊が中心となっており、問題管理、リリース管理、インシデント管理、IT資産の財務管理、セキュリティ管理、サービス継続性管理について語られています。
ITIL v3
ITIL v3 は2007年に公開され、2011年にアップデートされました。
ITIL v2の中心であったサービスサポートとサービスデリバリの考えを受け継ぎつつ、ITIL v3では「サービスライフサイクル」の概念が新たに追加され、それに伴い全体のプロセスが整理されました。
ITサービスのライフサイクルは「サービスストラテジ」「サービスデザイン」「サービストランジション」「サービスオペレーション」「継続的なサービス改善」の5つで、それぞれが1つの書籍にまとめられています。