ITIL 4は、ITサービスマネジメント(ITSM:IT Service Management)の成功事例をまとめた書籍群である「ITIL」の最新バージョン(2021年現在)で、デジタル時代に適用可能なサービス管理フレームワークとして2019年2月にリリースされました。
ITSMの導入は多くの企業にとって重要な経営課題ですが、要求範囲が広大なため、具体的な取り組み方法や導入の優先度設定を、自社ですべて検討することは現実的ではありません。
そのためITSM導入のガイドラインとして、ベストプラクティスを提供するのがITILの役割です。
ITILは1989年にイギリス政府がIT投資の効率化のために行った調査を書籍としてまとめて以来、1999年~2004年にかけてITIL v2、2007年~2011年にはITIL v3 、そして2019年にはITIL 4とアップデートを繰り返し、現在では最も代表的なITSMの規格として世界中に認知されています。
最新のバージョンであるITIL 4の構成を、前バージョンのITIL v3と比較すると、主な変更点は以下の3点です。
なかでも「サービスバリューチェーン」という概念の導入が最大の特徴で、ITIL v3以前の「利用者にITサービスを提供する」という考え方から「ITサービスの提供者と利用者がITサービスを共に創っていく」という考え方に変化しました。
ITIL 4では、インシデント管理・問題管理・ナレッジ管理などの「プロセス」と、サービスデスクなどの「機能」の両者が、「プラクティス」と表現されるようになりました。
ITIL 4には全部で34個のプラクティスがあり、「一般管理プラクティス」「サービス管理プラクティス」「技術管理プラクティス」の3種類に分類されています。
一般管理プラクティス |
サービス管理プラクティス |
技術管理プラクティス |
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アーキテクチャ管理 |
可用性管理 |
展開管理 |
継続的改善 |
事業分析 |
インフラストラクチャとプラットフォーム管理 |
情報セキュリティ管理 |
キャパシティとパフォーマンス管理 |
ソフトウェアの開発と管理 |
ナレッジ管理 |
変更コントロール |
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測定とレポート |
インシデント管理 |
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組織の変更管理 |
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ポートフォリオ管理 |
モニタリングとイベント管理 |
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問題管理 |
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関係管理 |
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リスク管理 |
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サービス財務管理 |
サービス構成管理 |
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戦略管理 |
サービス評価とテスト |
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サプライヤ管理 |
サービス継続性管理 |
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人材管理 |
サービスデザイン |
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サービスデスク |
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ITIL 4は、ユーザーのために価値を共創するプロセスに不可欠な「4つの側面」を定義しています。
これらはITIL v3では、4つのPとして「人(people)」「プロダクト(product)」「パートナー(partner)」「プロセス(process)」とされていたもので、「情報」と「バリューストリーム」は新たに追加された要素です。
「バリューストリーム」とは、ユーザーの要望を探し出し、ユーザーに価値を届けるまでに、誰がどのようなプラクティスにおいて何をするか、という一連の流れを指すものです。
プロセス単位での効率化だけでなく、全体を最適化するという視点でITSMを実践するために追加された、ITIL 4を考えるうえで非常に重要な要素です。
またITIL 4では、4つの側面に影響を与える6つの外的要因である、
を考慮して、4つの側面に関する意思決定を行う必要があるとされています。
ITIL v3のサービスライフサイクルという概念の代わりに、ITIL 4では、価値創造を可能とするシステムとして、「サービスバリューシステム」という概念が定義されました。
サービスバリューシステムは、「需要」が「サービスバリューチェーン」を通じて、「価値」へと変わっていくことを概念化したものです。
また、「サービスバリューチェーン」は「原則」と「継続的改善」という枠組みのなかで、「ガバナンス」と「プラクティス」により実行されるものとされています。
サービスバリューシステムの中心となるのが「サービスバリューチェーン」です。
サービスバリューチェーンは、需要に対する価値を提供する製品やサービスの、開発・マネジメント活動を体系化したもので、ITIL 4のプラクティスを複数組み合わせて、以下の6つの活動が実行されます。
ITIL4におけるサービスバリューチェーンは7つの行動規範のもとに行われます。
ITIL4では、これらの行動規範の中でも特に「価値にフォーカスする」「全体的・包括的に行動する」に重点が置かれているのが特徴です。
結果として、ITSMSにもユーザーの声を広く収集しITサービスに反映させる機能が求められるようになりました。
また、各プラクティスの業務を最適化するだけでなく、担当部門同士の連携やコラボレーションを強化できるかどうかもITSMS選定の際に考慮しなければなりません。
Freshserviceは、「インシデント管理」「サービス要求管理」「IT資産管理」「問題管理」「変更管理」「構成管理」などの幅広いプラクティスに対応した、ITIL準拠のサービスデスクツールです。
ITIL 4が求める多様な業務をひとつのシステムで統合的に管理することで、関連部門同士の情報共有を容易にします。
例えば、インシデントの発生によりソフトウェアの更新が必要になった際に、更新が必要なデバイスや更新による事業への影響を素早く把握し、適切な対応を迅速に決定することが可能です。
Freshserviceは、チケットごとにルームを作れるチャット機能を搭載しています。
自力での解決が難しいインシデントが発生した場合も、メンション付きのチャット機能を活用して素早く関係者に共有し、適切な対応を模索できます。
チケットの特定部分をハイライトしてチャットに引用すれば、チームメンバーは、全てのチャットと応対履歴を読み返すことなく、対処すべき課題をピンポイントで把握可能です。
さらに、独自の承認ワークフローを設定することで、複数人への承認依頼も自動で通知。
他部門の上長承認など、サービスデスク以外に対してエスカレーションが必要なケースでも問題なくワークフローの設定が可能で、対応遅れの原因となりやすい部門間の連携も支援します。
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